徳能行政書士事務所

[司法書士との相違]

    よく聞かれることのひとつとして,「行政書士と司法書士はどう違うのですか」,と     
   
いうものがあります。法律業についてあまり詳しくない方だけでなく,専門の士業の方の    
 
中でも明確に答えることが出来ない方がおられるようですので,ここで少し解説させていただき
     
ます。 まず第一に,監督官庁の違いがあります。行政書士が,総務省の監督   
 
を受けているのに対し,司法書士の監督官庁は法務省です。このことは,試験の傾向に

反映されています。行政書士の試験が,公務員試験(特に地方上級)に類似した側面     
      
を持っているのに対し,司法書士試験は,どちらかと言うと,(旧)司法試験をより細分化したも

の(旧司法試験が大雑把な試験であると言うことを意味しません)であると言えます。   

  次に業務面についてです。行政書士の業務は基本的に各種の許認可の申請手続きが中 
 
心であり昨今では,会社設立業務も増化してきていると言う点は,[行政書士の業務]のペ−ジ
 
でも述べたとおりです。一方,司法書士の業務はと言うと,その圧倒的部分が不動産や会社に

関する登記業務で占められており,司法書士といえば(登記の専門家)と言うイメージがすぐに

頭に浮かぶのが至極当然であると言えますが,登記業務以外にも,法務局に対する供託の手

続き代理や,不動産登記における(筆界特定手続きの)相談や代理等の業務も行っていま  
 
す。しかし司法書士の業界において,近年ではかなり変革がおきており,従前ではあまり行は

れていなかった成年被後見人に対する後見業務や,クレサラ問題(クレジット.サラ金)による

債務整理業務等もかなり主流になってきています。又,平成14年及び17年の司法書士法改

正によって特別の研修を終了した司法書士(認定司法書士)に,簡易裁判所の訴訟代理権が

与えられる事になった事は,特筆すべきであると言えます。                     

  以上のことから考えると,行政書士と司法書士の業務は法律的には一線を画しているよう

にも思えます。しかしながら境界がかなり曖昧な部分もあります。と言うのも,これまで司法書

士の独占業務であった商業登記の手続きを行政書士に開放し,逆に行政書士の業務であっ

た定款の作成代理権を司法書士にも与えようという動向があるからです。これが実現するか

否かはともかくとして,行政書士と司法書士の職域が,一昔前と比較し,はるかにその垣根を

せばめてきていると言うことは、紛れもない事実であるといえそうです。